夢みたいな話だった。



救いの手は本当に翼にぃを幸福へと導いた。






翼にぃは俺の腕から手を離し、
自分の服の袖を捲った。






そこから顕わになった右腕は、全体が赤黒く変色していた。


「えっ」

俺はあまりに酷い傷をみて息を飲んだ。



「……昔のことは、思い出すとそりゃ辛いよ。自分のことだって、何度カッターで切りつけて殺そうとしたかわかんない。







……でも、それでも俺は今、確かにここにいて、光輝っていう大事な大事な親友がいて、白龍の副総長になれるくらいには、色んな人に認められるようになった。それだけで、生きてて良かったなって、俺は今幸せだって胸張って言える。






お前も、アイツといたらいつかそうなれるよ」







そう言って、翼にぃは嬉しそうに笑った。