「……」




何も言えなくなってしまった俺の背中に腕を回して、翼にぃは笑った。





「俺には、……赦される権利なんかない」




人に恨まれて当然のようなブラックの仕事をしてるし、学校にも通ってない。それに何より大切な人が消える時何も出来なかったこの俺に、




赦される権利も幸せになる権利もありはしないのだ。




「権利なんて必要ねぇよ。赦されるのにも、幸せになるのにも条件なんていらない。




みんな目指していいんだ」





「そっ、そんなわけ……」





俺にはわからない。




……なんで、幸せになれる人となれない人がいるのか。




目指したってなれない人がいるのなら、きっと幸せになるのには条件がある。




俺はきっと、……いや間違いなくそれを満たしていない。