「…………ごめんなさい」
突然、妖斗は顔を俯かせて俺に謝ってきた。
「……なんでお前が謝るんだよ。謝るのは俺の方だ。怖かったよな、ごめんな」
光輝を奪われると思ったとは、言えなかった。
俺は、光輝に執着している。
母子家庭だったのに母親に捨てられて、自殺をしようとした時に光輝に助けられたから。
光輝がいないと、生きた心地がしないんだ。
「………気にしないでください。俺が極端に怖がりなだけなので」
妖斗は目じりを下げて、作り笑いをした。
俺は、妖斗の白髪をそっと撫でようとした。
しかし、妖斗はそれをよけた。
「……ごめんなさい。正直言うと、翼咲さんちょっと怖いです」
妖斗の身体は、小刻みに震えていた。
同い年なのに、そいつは小学生みたいに幼くて……俺はそんな奴を傷つけた自分に心底ムカついた。
――俺はアホか。
光輝を奪われると思ったからって、限度があるだろ。
それに奪われたくないなら、奪われないようにしろよ……。
怒るのはそうしても奪われたら、だろ。