1週間後。



無事退院の運びとなった俺は、1階の受付の前で看護師の人や空にぃと挨拶をし、病院を出ることとなった。




結局、俺はあの日兄さんの病室の中でバスケットの中身を全部食べた。





食べ終わるのに2時間くらいかかったけど。




「妖斗、もうあんなことが理由で来んじゃねぇよ?携帯貸せ」




空にぃはそう言って楽しそうに笑う。




これ、絶対なにか企んでる。





今、渡さない方がいいこれは多分。






でも、渡さないと怒られるんだよなぁ……。




渋々ポケットから携帯を出すと、
空にぃはそれを奪い取り、操作した。





「これロック何?」


不思議そうな顔をして訪ねてくる。



「……兄さんの誕生日」






「あー1月10日な。……ブラコンかよ!!」





小声で言った俺に、空にぃは盛大に突っ込んだ。




「……あんなことあったらそれぐらいする」




「……まぁそれもそうか。ほら、妖斗」




空にぃはほんの少し笑いながら、俺に携帯を返してきた。




「ん。何したの?」



「……お前の連絡先に入ってた女の削除。
メールと電話の履歴も消しといた」



え。


「……いや、マジで何してんの」




携帯を操作すると、本当に仕事の女のデータがすべて消えていた。