「……空にぃはやめろ。つーか、15歳で人のことをにぃ呼ばわりはどうなんだ?」



ベッドに近づくと、空にぃは俺の白髪の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。


「わわっ、やめろよ」





「……なんで、空我さんが医者なんか」



ボタンをひとつも閉めていない白い白衣を羽織っている空にぃを見て、俺は言った。





「他人行儀っぽいから空我さんはダメ。
空我でいいよ。つーか、さん付けすんなら敬語使えよ」






「うっ、……ごめんなさい」




空にぃの落ち度を叱る時に醸される有無言わさぬ雰囲気に、俺は少し圧倒された。






「……ハハッ、そんなに怯えんなよ。




まぁ、医者でも俺は元々精神科の方なんだよ。でもここが人手不足らしいから、こっちに来たわけ。元精神科ってこともあって、お前みたいな思春期の小中学生を見ることが多いけどな」






空にぃは、そう言って楽しそうに笑った。





「…………俺は、学生じゃない」