『……妖斗、俺はいつか空我さんみたいになりたい。

あの人や今の親父みたいに、沢山の人に尊敬される気高き黑蜜蝶の総長になってやるんだ。




そん時は、お前が副総長になってくれよ?』








『うんっ!!』





淡い記憶。




あの事件が起きる何日か前。父さんに用があったのか家に来た空にぃを見ながら、兄さんはそう言っていた。




当時空にぃは、




亜空という総勢80人弱の暴力団を取り締まる





凄い人だった。



兄さんは、そんな空にぃを心の底から尊敬していた。





俺はそんな兄さんの声に大きく頷いて、指切りをしたんだ。








悔しくも、その約束はもう二度と叶わぬものになってしまったけれど。