俺はバスケットと茶封筒をさっきまで二人が座っていた椅子の上に置いた。



俺はそれから、ボスって効果音がするくらい強めの勢いでベッドに倒れた。






「…………っ」



体から力を抜いた瞬間、滝のように涙が溢れた。







……本当は、すごい嬉しかった。







見ず知らずの俺のことを善意で助けてくれて、“独りにしない”っていってくれて、あんなご飯までくれて。それに、手術費を払うとまで言ってくれるなんて。








仮にあの人が全て本心でやっているのだとしたら、それはきっと、俺がずっと探していたモノだった。






……そこにあったモノは、温もりだった。







ただただ暖かくて、愛しくて。俺が十年前に無くして、それからずっと欲しがっていたモノだった。







………俺は、あの人のそばで生きてもいいのだろうか。







こんな薄汚れた分際でも、…………そばにいて、いいのだろうか。