「ん。

……真凛、医者呼びに行ってそのまま帰るぞ」



光輝さんは俺から離れ、ピンク色の髪をした女にそう言って笑った。




「うん。……妖斗、これ食べて。さっき作ったの」



「え」




真凛と呼ばれた女は、そう言って俺に片手に持っていたバスケットを差し出してきた。





中に入っていたのは、クロワッサンやサンドイッチなど美味しそうなものばかりだった。




初めてだった、善意だけで食事を貰ったのは。



「真凛の善意だ。受けとっとけ。



食欲ないなら今すぐ食べろとは言わないが、兎に角食え。変な食生活してっと、また倒れるぞ」




光輝さんはそういい、呆れた顔をして笑った。




「……ありがとうございます。





あのっ、光輝さん。俺は……っ」





貴方を信じていいんですかって、そう聞きたくなってしまった。





「そんな不安そうな顔してんじゃねぇよ、ほら」




光輝さんは切なそうな顔をしていう。
光輝さんはブレザーのポケットから出した茶封筒を、俺に向かって投げた。


「うわっ」




投げられたそれを俺は慌てて受け取る。




「そん中にお前の手術費と俺がリーダーの白龍という名の暴走族のデータが書かれた紙が入ってる。退院したらアジトに来い。返事はそこで聞く。……金は使わないと許さないからな」



俺を睨んでそう言ってから、光輝さん達は病室を出ていった。