何度、奇跡が起きろと思った?
何度、ろくに金もないくせに、わざわざ花を買って見舞いに行った?
俺は何度、兄さんが目覚めるのを願った?
もうそんなのは全然わからない。
「暁にぃ……?」
俺は、確かめるように昔呼んでたのと同じように兄さんを呼んだ。
『妖斗!妖斗っ!!』
頭に、兄さんの声がよぎった。
徐々に、握られた指の力が強まっていった。
――早く、目を開けて。
「妖っ、斗……。
が……ん……ば……れ」
辛そうな顔をして目を薄く開けた兄さんは、
俺を見てそう聞こえるか聞こえないか程度の
小さな小さな声で言った。
「あっ、暁っ、暁にぃっ!!!」
涙が滝のように溢れ出した。
「……ば……かっ。
早く……いか……ない……と、
遅刻……する……ぞ…」
そう言い、兄さんは俺に力もなく笑った。



