「妖斗、ほら」


みんなが病室に戻ってきて、俺は光にぃに携帯を渡された。





「……あ、光にぃが持ってたんだ」




俺は携帯を受け取り、掠れた声で呟く。



「ああ。そうそう。携帯に、俺ら6人と空我先生の連絡先勝手に入れといたからな」






おれは光にぃが言ったその言葉に、思わず何も言えなくなってしまった。






連絡先に、親しい人のなんて入れたこともなかった。





全部全部、いらないふりをして生きてきたんだ。




それなのに……っ。





片目から一筋の涙が流れ、頬を伝う。



「バーカ。何泣いてんだよ、妖斗」




光にぃの横にいた翼にぃが、俺の頭を撫でた。



「ねえ、翼にぃは……俺の友達?」




かすれ声で、俺は縋るように聞いた。




同い歳の友達が欲しかったんだよ?




俺はずっと。








焦がれて焦がれて、でも、



持てるわけないって、諦めて生きてきたんだ。






「あぁ。お前は俺の大事な弟で、……大事な親友だ」






そう言われ、生まれて初めて、




心から生きててよかったと思った。