「アハハ。ねぇ総長さん、そんなにこの子が大事?誰にも必要とされなかった人殺しで、穢れて腐り果てたこの子供が貴方は大事?」
そう言われた時、俺の何かが壊れた。
俺は、気がつけば目の前にいる女の頬を殴っていた。
「……人殺しでもなければ、穢れてもいねぇよ。てか、そいつが穢れてるってんなら、穢したのはお前らだろうが!!」
俺は倒れた利亜の胸ぐらを掴みあげ、 叫んだ。
「でも、その選択をしたのはこの子よ?
穢れる前にちゃんと逃げればよかったじゃない?」
利亜は目を瞑った妖斗を指さして笑う。
「5歳の右も左も分からない子供が、逃げようって発想にたどり着くわけないだろうが!つーか、逃げたら逃げたで何されるかわかんないからそいつは震えてたんだよ!!」
叫んでも叫んでも、利亜は反省なんかしてなかった。
許さねぇ。
こいつは、俺みたいに妖斗に光を差し伸べて、その上で裏切ったんだ。
あいつがどんなにそれが嫌だったか。
おまえのせいで人間不信になったんだよ!!
「まるで、自分も似たような経験したことがあるみたいな言い方ね?」
「なっ……!?」
俺は不意のその言葉に、思わず腕を緩めた。