5階に着くと、目の前には暗く、灯りがない部屋がひとつだけあった。






「あっ、あっ……」






ドア越しに、妖斗のうめき声が聞こえる。






微かに開いたドアの隙間から部屋を覗き見ると、妖斗が首を絞められ、喘いでいた。



「妖斗っ!!!」





俺はドアを蹴り開ける。





「あら、一足遅かったわね総長さん。


妖斗なら……もうきっと死んでるわよ?」






利亜は、俺にそんなことを言って笑った。




利亜の隣で目を瞑って床に倒れている
妖斗は、それは酷い有様だった。




両手首と両足首は何かに縛られたように血が滲み、左足は皮膚の付け根から足首まで何かに切り裂かれたように抉れ、ありえないほどに血が滲んでいた。



……妖斗。



頑張ったんだな。





「てめぇ、殺す」




俺は真凛に救急車を至急呼ぶように連絡し、
目の前にいる利亜を睨みつけた。