聖里奈と真凛と分かれ、
俺と翔太さんは敵を倒しながら
5階へと続く階段を上がり続けた。





真凛は、3階で喰蝶の紅い蝶の刺繍が描かかれた服を奪い、妖斗が今どうなってるかを聞き出していた。聖里奈は、その護衛につかせた。






真凛は、変装が得意だ。




親が特殊メイクの仕事をしてて、そういう他人に成りすます方法はちっちゃい頃から覚えさせられたらしい。




敵の中に混じって、情報を探り出すのが上手い。





4階に着くと、そこには50人ほど喰蝶のメンバーがいた。






《………光輝、妖斗が結構危ないかも。利亜に抵抗し始めてるって。どうしよう、相当怖い目に遭ってるかもしれない……》





かかってきた電話から、真凛の泣き声が聞こえてきた。




「クソ!!」



まずい。……時間が無い。



警察が来るまで、あと少なくとも10分以上はある。



それなのに、こんな調子では妖斗のとこにすら行けない。




「――光輝、先にいけ」






翔太さんは、そう淡々と言った。



「なっ!? 翔太さん、でも……っ」





「いいから早く行け!!お前の弟だろ?」





翔太さんのまくし立てるような声が、俺の背中を押した。



「すみません!!すぐに連れ戻してきます!!」