それなのに、なんで今更……。




「妖斗、涙なんか流して、どうしたの?泣くほど気持ちいい?」





俺は、自分を犯していた利亜さんの言葉にますます目を見開いた。





「……っ」



利亜さんは、何も言わない俺の頬に滴り落ちた涙を、舌で舐めて拭った。






『妖斗』




次に頭に浮かんできたのは、兄さんじゃなくて光にぃの声だった。




次々と、白龍の皆の声が頭に浮かんでくる。



『妖斗!!』




……翼にぃ?






『光輝が兄なら、お前は俺の息子だろ!!』


……翔太さん?



『またね、妖斗』




……優姫さん?



『妖斗』




これは、聖里奈……?





『行こっ!妖斗!!』





最後に過ぎったのは、無気力で、いつもいつも怖がってた俺を引っ張りあげてくれた真凛の声だった。









…………あぁ。






何で生きたいと思うかなんて、考えるまでもなかった。