喰蝶のアジトは、暗い町外れのビルだった。







黒く、黄色いライトが輝く寂れたアジト。






「……妖斗」





俺は、そう独り言のように呟いた。





遠目だが、窓が5つ縦に並んでいることから察するに、恐らく五階建てなのだろう。






単純計算だと、1階につき喰蝶が50人。



恐らく、最上階にはあの利亜と妖斗だけがいる。






この戦い、どれだけ時間をかけずに妖斗を回収するかが勝負だ。




武器なしがポリシーの白龍は、喰蝶と長時間戦ったら、恐らく一溜りもない。




それなら、俺と聖里奈と翔太さんでさっさと上に行き、妖斗を回収して警察に利亜と喰蝶を捕まえさせるしかないだろう。







利亜は白龍だけで来いとは言ったが、警察を呼ぶなとは言っていない。






――それは果たして意図的なのか、たまたまなのか。





そんなことは知らん。




ただ、そのミス利用させてもらう!!