俺は、翼咲の頭を叩いた。
「痛っ!?」
「あのなぁ……大人気ないんだよ!!」
涙目をした翼咲に、俺はそう声をかけた。
「………だって、俺負けた。ついこの前妖斗に守るとか言った癖に全然守れてなくて、すげぇあっさり負けた」
そういう翼咲は頼りげのない子猫みたいで、俺は調子が狂った。
「……別に、妖斗が連れ去られたのお前のせいじゃねーよ。3対50だったんだぞ?あの状況じゃあ、お前がやられなくても俺か聖里奈がやられて妖斗は連れ去られてたよ。
……白龍幹部の始末って考えたのは、俺の誤算だった。まさか、あの利亜の依頼内容が妖斗の捕獲のみだったとはな。だから喧嘩が止んだんだろうな」
俺は、そっと翼咲の頭を撫でた。



