ドアを開けて恐る恐る中に入ると、それは酷い有様だった。 翼咲が花瓶を床に投げつけたみたいでそこらじゅうにプラスチックの破片が散らばっている。 翼咲はそれだけじゃ飽き足らないのか左手で頬杖をついて、ごみ箱を片足で蹴っていた。 これは、本っ当に荒れに荒れてるな。 「翼咲?とりあえず落ち着け」 「…………」 破片を踏まないよう床に注意しながら、俺は翼咲のいるベッドの横にあった丸椅子にどうにか座った。 俺などまるでいないかのように、翼咲は無視を決め込む。