そこから先は、あまりよく覚えていない。




俺は、気がつけば風呂から出て利亜さんのいる部屋のドアの前にいた。



ガッ。

「早く入れ」



後ろにいた男に背中を蹴られた俺はドアに勢いよくぶつかり、そのまま、部屋の床にうつ伏せで倒れた。





「痛ッ!!」




直後、利亜さんは倒れた体の上に乗っかり、俺の両腕を掴んで、両手首を近くにあった縄で縛り付けた。




強い力で結ばれたのか、手首から血が滲むのが嫌でも分かった。



「……アッ」


動けないからせめてもの抵抗として足をジタバタと動かす俺の怪我した膝の裏を舌で舐め、今度は両足首を同じように縄で縛り付ける。






続けて俺の髪を引っ張りあげ、顔を無理矢理上げさせる。




俺の唇に、キスを落とす。




「んっ!!」





口の中が刺激され、押し寄せた不快感に俺は顔を歪めた。




「アガっ!!!!」



キスをしたまま利亜さんはUネックのニットの下にある俺の肌を触り、肩にあったアザみたいに赤い痕を引っ掻き、剥がした。



痕のあった箇所から血が滝のように流れ、
俺はあまりの痛みに悶絶した。



「……おやすみ、妖斗」




両親が自分のせいで死んだ制裁を受けてるみたいな錯覚に陥り、唇を離した利亜さんのその言葉を最後に、俺の意識は暗転した。