「……返して欲しかったら、そこの喰蝶を全員倒せばいいんじゃないかしら?




まぁ、そんな腕じゃあ無理でしょうけどね?






でもそうね……白龍の総長さん、チャンスをあげるわ」






利亜はポタポタと血を垂れ流す俺の腕を一瞥した後、気を失った妖斗のポケットから携帯を取り出し、それを光輝に向かって投げつけた。




光輝は慌てて受け取り、利亜を睨みつける。




「その携帯のロック番号は、0110。私はこれから、ある場所の最上階に妖斗を連れていくわ。場所はその携帯にあたしが電話をかけて教えてあげるから、救出しに来てみなさいな。




もちろん、白龍180人だけでよ。






ただ、妖斗がいる所には喰蝶が200人はいると思いなさい。





それじゃあ、またね」




利亜の目の前にひとつの車が迫り、彼女は
妖斗を雑にトランクに放り込み、車の助手席に乗り込んだ。



「そんな………っ」


真凛が、声を上げて地面に崩れ落ちた。



「「「妖斗ーっ!!!」」」



俺達幹部は叫び、桃華は口を抑え、言葉を失っていた。




車と喰蝶の奴らが姿を消し、白龍の幹部と姫と俺の彼女しかいない神社で発した悲痛の叫び声は、ただただこだまするだけだった。