「はい、お喋りはそこまで。今のはあっちも様子見なんじゃない?




……来たわよ、大本命が」



俺の後ろにいた聖里奈は、そう言って神社の周囲を見回した。




そこにいる喰蝶の人数は、凡そ50人弱。




そして、その中で鉄パイプやハサミなどの凶器を持ってるのが少なくとも30人以上。





ちょっと流石に3人でこの人数を相手にするのは、洒落にならないな……。





喰蝶。


極悪非道、残虐で有名なマフィアだ。





人に金をもらって、暴走族を潰すためだけに動く。




恐らく、今回の依頼人は妖斗の育て親のあの利亜という女。



そして、依頼内容は白龍幹部あるいは幹部を含む白龍全員の始末と、妖斗の捕獲だろう。





「……舐められたもんだな」


翼咲は、そう小声で呟いた。


「ああ、全くだ」

たっく、相手が卑怯すぎて笑えてくる。




「「数を増やせば勝てるって思っちゃあ、大間違いなんだよ」」





「フフ。ええ、そうね」


声を揃えた俺と翼咲に、聖里奈は楽しそうに頷いた。