気がつけば、神社の中は俺達と翼咲の彼女の桃華と、利亜と、数十人の喰蝶の奴らだけになっていた。




一般人はみんな逃げ出したか……。



「……せ」




翼咲が、怒りに満ちた顔で男を睨みつけた。




「だから、放せつってんだよっ!!」




ガンッ!!

直後、翼咲は男の胸ぐらをつかみ、そいつの体を地面に振り落とした。



男は頭を強打し、気絶していた。





「 はぁ……、めんどくさ。さっさと倒すぞ光輝。コチとらデート邪魔されて胸糞わりぃんだよ」





桃華と共に俺の隣に来た翼咲は、そう言って利亜を睨みつけた。





「相変わらず……空手黒帯訛ってないな」




そう言い、俺は翼咲に笑いかけた。



「喧嘩やってんのに鈍るわけねぇだろ」



そう。


こいつはまだ俺に拾われる前は、空手をしてたらしい。


中学で副総長なのは、それのおかげかやたら喧嘩に強いからだ。