《光輝side》
俺の目の前で、白髪の痩せ細った男は気を失った。
「はぁ……全く」
ため息を吐き、俺はそいつを担ぐ。
……こいつ、異様なほど軽いな。見たとこ身長は170ちょいだろうが、もしやこれは体重50キロ未満か?
「はぁー」
一体どんな食生活してんだか。
再度深いため息を吐いて、俺はそいつをバイクの後部座席に乗せた。
……口からシンナーの匂いがするな。
さっき鼻血出してたのはそのせいか。
――ん?
こいつ、裸足だ!!
……こりゃあ、結構ヤバいことに巻き込まれて命からがら逃げてきたってとこか。
「総長!!」
バイクを降りていた俺に、後からついてきた下っ端達が声を掛けてくる。
「そいつどうしたんすか?」
「……分からない。ただ、このままだと下手すれば死ぬからな。俺が病院まで連れていく」
そういい、俺はバイクに乗って勢いよく加速した。