半ば無意識で、俺は玄関に行く2人を追っていた。



「まっ、待って!待ってください!!



翔太さん、




………なんで俺に、そこまでするんですか。





学費は、翔太さんが払うんですか?」




俺には、そんなことをされてまで、




学校に行く価値もない。




「そんなのお前が光輝の弟だからだろ!



光輝が兄なら、あいつの育て親の俺は、父親だろ!!」






瞳から、大粒の涙がこぼれ落ちた。





「うっ、ヴア゙っ、嗚呼嗚!!」




散々騙されてきたのに、
翔太さんが言ったその言葉が本心なのだけは、嫌でもわかってしまった。





「……もう苦しまなくていい」




翔太さんは俺の片腕を引っ張り、体を自分の胸に埋めさせた。




遅れて、抱かれたことに俺は気づく。






「ふえっ、ふぇ……っ、ごめんっ、ごめんなさい……っ」






嗚咽や泣き声とともに、謝罪の言葉が出てきた。







……ごめん。





…………ごめんなさい。





『好きよ、妖斗』


『妖斗!』




『妖斗!あーやと!!』



ママ、パパ、暁にぃ。




頭に、3人が俺を呼ぶ声がよぎった。



俺はあの日、何もできなくて




…………ごめんなさい。