「……ありがと」



妖斗は小声でお礼を言ってきた。



「ん」



ブーブー


ちょうどその時、聖里奈からLINE通話がかかってきた。



《ねぇ光輝、お菓子真凛と今買ってて、ついでにケーキ屋見てきたら、がっつりホール売り切れてるわよ。




ケーキの材料だけ買ってくから、みんなで作らない?》






そうくるか。





「……あー、まぁお前らもいるしな。分かった。材料頼んだ」






《了解。甘いもの嫌いな翼咲もいない事だしねー》






聖里奈は得意げにそう言い放った。




おいコラ。


「……余計なことを言わなくていい。切るぞ」






《はいはーい。また後でね》




電話がプツンと切れ、俺は一息つく。






「……光にぃ、翼にぃ今日ずっといない?」






通話が聞こえたのか、妖斗が俺の服の裾を掴んで、そんなことを聞いてきた。




こいつ、極度の寂しがり屋だからなぁ……。




「んー、どうだろうな。きっとそのうち桃華と来るよ」







「うん!!」






俺がそう言っただけで、妖斗はぱあっと口元を綻ばせた。






……可愛い奴。