「……俺は、白龍に入ってれば親父に会わずに済むと思ったんだ。暴走族なんて、単独行動はせいぜい家か学校の中とかでしかしないだろ。だったら、あいつに捕まる心配もないと思った。
事実、もう11年会ってないからな。
……ただ、俺はもうすぐ引退だ。高3だからな。
そうなると、いずれ見つかんのかなぁ……って思うけど」
そこで光輝は、力もなく笑った。
「……まぁ、これが俺がお前らを拾った理由。俺は、ただ家族が欲しかっただけだ。……たとえ、血が繋がっていなかろうともな。
……翼咲、いつか気持ちの整理がついたら親に会いに行こう。
大丈夫。小6まで育ててくれたなら、きっとお前は嫌われてない。なにか事情があんだよ。
妖斗も、兄のことちゃんと待ってろよ。
お前らには、ちゃんとした家族がいんだからさ……」
ベランダから部屋に戻った光輝は涙を拭い、俺と翼咲の頭をわしゃわしゃと撫でた。



