「……放せよ」 妖斗は俺の手を掴んだ。 「お前は、自分が味わった苦しみを俺達にまで味合わせる気かっ!!」 「うっせぇよっ!!」 そう我も忘れて叫んだ妖斗は、涙を流していた。 「……ねぇ、光にぃ。 翼にぃ、元気そうだったね。病院にいた癖に。 なんで俺の兄さんは、同じ病院にいるのにずっと寝てんの? もう十年だよ。年が明けたら、十一年になるよ?俺、何年待てばいいわけ。そもそも目覚めんの? …………俺、もう待ってんの疲れたよ」