「……光にぃ、翼にぃの退院は?」





妖斗がそう言った直後、窓から朝日が差し込んできた。





「あ。夜明けたし、確か2泊3日だからそれ今日だわ」




あいつ、病院嫌いなんだよなぁ……。






帰ってこれるならかなり喜ぶかもな。







「……今日って、20日か」







妖斗は、何かを思い出したように言った。






「なんか用事あんの妖斗」





「………俺の全てが奪われた日から、10年と11ヶ月と10日」




つまんなそうに、悲しそうに妖斗は言う。





「翼にぃのトコは行くけど、……俺は兄さんの見舞いも行く」








「わかった。……そのうち、俺や翼咲にも紹介しろよ?」





俺は指を鳴らして上機嫌に言い放った。



次楽暁斗は、妖斗に似てるんだろうか。





「……気が向いたら」