病院を出て、駐車場に置いていたバイクにまたがり、俺は家に向かった。
結局、妖斗の宣言通り翼咲が親に捨てられたことを暴露したら、空我先生は親に連絡はしないと言ってくれた。
あいつ、やっぱり……翼咲に病院に行って欲しくてわざわざあんなことをしたんじゃ?
そう思うのは、俺の甘さなのか?
バイクを家の前に止め、俺はポケットから鍵を取り出して家に入る。
「光輝おかえりー」
「真凛?
……お前まだいたのか」
家に帰ると、玄関で真凛が俺を出迎えてくれた。
聖梨奈と真凛に状況を伝えた時に、真凛は仲良くしたいからってことで、妖斗の様子見に行くって言ってくれたが、もう7時半だぞ?
「はぁー」
思わずため息がこぼれた。
本当に世話焼きだな。
「うん。……妖斗が寝ちゃったから、起きて家に独りなのに気づいたら、また泣き出すかと思って。
でも、光輝が帰ってきたし、あたしはもう帰るね。ご飯はカレー残ってるけど、オカズもサラダとか軽いものなら作っといたから」
真凛は、そういって天使みたいに口元を綻ばせた。