『逃げ……ろ、妖斗っ!!』



黒スーツを着た男が、暁にぃの足を拳銃で撃った。


『ひっ……』

暁にぃのジーパンが破けた。破けたところから見える足は真っ赤に腫れ上がり、どす黒い血を垂れ流がす。

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ことの発端は10分ほど前。家に黒スーツをきた男が2人来たのが始まりだった。


知り合いだったのか、パパとママは笑って彼らを受けいれた。
しかし、その直後、パパとママが銃で殺された。そしてその後、暁にぃが拳銃で足を撃たれ、倒れた。


『アハハハハハ!!』


男は床に倒れ込んでいる暁にぃの頭を拳銃で何度も叩いて、楽しそうに笑った。



床には、血塗れの両親の死体が転がっている。それにもはや声を上げることすら出来なくなり、足から血を吹き出して意識を失っている、暁にぃの身体がある。



「にぃっ、あきっ、暁にいぃぃぃっ!!」

内蔵を掴んでぐちゃぐちゃに掻き回されたかのような、とんでもない絶望感と恐怖に襲われる。


なんで。なんでなんでなんで。


嫌だ。


…………俺は、独り?



もうママやパパには会えないの?



ねぇ、なんで?



暁にぃは?


みんなはどこ……?


『こいつ、まだガキか。
……情けだ。ずらかるぞ』



暁にぃを気絶させた男はそう言い、
俺の頭を乱暴に撫でた。


『はーいよ』



男達は、両親の死体と倒れた暁にぃの身体を持って、俺の前から消えた。