学校が終わって、帰ろうとすると

「柚鈴!」

名前を呼ばれて振り向くと、何故か中山くんがいた。

目があったような気がするけど、私に話しかけてるはずないよね。

誰が、呼んだんだろう?

他に、呼んでいる人は見つからない。

「空耳かな。」

そう思って、中山くんのそばを通り過ぎようとした時、

「待ってくれ!」

腕を突然引かれて、振り向くと

焦った顔をする中山くん。

びっくりして、でも何故か冷静だった。

もう、嫌いになったんじゃないかってぐらい。

「…なに?」

自分でも思ったより低い声が出て。

中山くんは、目を見開いてた。

「なんなの?

私、帰りたいんだけど。」

言い方が冷たくて。

でも、中山くんにされた時の怒りがこみ上げて来た。

だから、こんなに冷たく言ってもいいよね。