そこが、彼氏と、紗枝を密かに思う俺との違いなんだ……。 空っぽになった弁当箱。 俺は騒がしい昼休みの廊下で、手洗い用の石鹸を使って丁寧に洗った。 亮太が休んだ日に、俺と紗枝のあいだで交わされた秘密ごと。 今日一日かぎりの、秘密。 弁当も、携帯で連絡を取り合うことも、もう二度とないんだな……。 「………っ……」 不意に涙が一粒こぼれ落ちる。