早弁をしない、と、紗枝と約束した亮太が弁当を広げたのは、二時間目の休み時間だった。



「直樹、食わねぇの?」


「……俺、朝メシ食ってきたし」


「まじ? 珍しいな。おまえ、いっつも朝メシ抜きの早弁組なのに」



から揚げを口に放り込んだ亮太が、驚いたように目を丸くする。



俺も亮太と同じように、早弁組だった。

でも今日は……。



紗枝が、「早弁しちゃダメよ」って釘を刺してきたから。

俺は律儀にもその約束を守ったんだ。