雲ひとつない空では、太陽が暖かい陽射しを精一杯、降り注いでいた。 だけど、冷たい風が吹き抜ける地上までは、その暖かさが伝わってこなかった。 「こんなに寒いのに、一時間目は体育なんだよね、あたし」 口を尖らせながら紗枝が言う。 「へぇ。俺も一時間目、体育……あっ……」 言いかけた瞬間、全身から血の気がスッと引くのを感じた。 やばい。 ジャージ忘れてきた……。