「いや、俺はこっちがいい」 対して俺の指定席は。 運転席の真後ろ。一人掛けの席。 席に座ると、すぐにバッグの中からipodを取り出す。 バスのなかで音楽を聴くようになったのは、紗枝が亮太の彼女になってから。 混雑するバスのなかで、一番後ろの席に座る二人の声なんか俺の耳に届くはずなんてないのに。 それでも、もしも聞こえたとき、のために俺は音楽を聴く。 二人の仲の良い会話から解放されたいんだ。