「…」





反応を示さない佐野くんに私は宣言通り独り言を言い始めた。





「私ね、人は他人の苦しみを100パーセントわからないと思う。だから分かり合えない分を分け合って生きてると思うんだ」






苦しみを分からなくっても、分け合うことはできる。




綺麗事なんかじゃなくて、それは事実。







「綺麗事なんか嫌いって言って人の優しさを受け入れようとしない人が世の中には多くいる」





「…っ、。」





一瞬、佐野くんがピクリと反応した気がした。





それを見た私は本心な独り言を続ける。




「でもさ、綺麗事って人の優しさからできてるよね。その優しさまで拒否して自分の殻に閉じこもるのは…いつまでたっても成長しない証」







「…なっ……なにがわかんだよ!?急に現れてっ…!俺のことなんて…、」




「わからないって言ったでしょ?…でもさ苦しみを分け合うことはできるとも言った。」











あ、これ一応独り言だからね?と言ったら落ち着きを取り戻した佐野くんは再び黙る。