雨が降らなかったら、畑の作物は育たない。 そんな日々が続いていたからか、村の雰囲気は穏やかじゃなかった。 それに耐えられなくなり、出ていく村人もいた。 そんなある日のこと。 十歳程度の少女が一人、村の入り口に立っていた。 服装はお世辞にも綺麗だとは言えなかった。 白いワンピースを着ているせいで、汚れが余計に目立つ。 「この村に何か用か?」 少女に気付いた村人が、睨むように言った。 少女はたじろぎ、俯いた。