遺書を探すイコール手紙を見つけることだ。どうしてもミフェルは伯爵に手紙を見て、リタの後悔の気持ちを知ってほしかった。
だが、結局リタは死ぬまで、遺書を探せというメモを書かなかった。
(……意地っ張りめ)
それでも、リタ様らしいという気持ちのほうが先に立った。あの人は弱みなんか見せたくないんだ。嫌われても、格好つけていたかったんだ。
(だったら僕が勝手にやるよ。でなきゃ、リタ様の大事なこの別荘がつぶされてしまうかもしれない)
そう決心したミフェルは、リタの死後、フリードが来るのを待った。カスパーに頼んで、別荘への出入り状況を教えてもらっていたのだ。
しかしフリードは来たと思ったらすぐ葬儀のためにまた戻っていってしまった。遺産処理にまた来るのかと思えば、来たのは側近のドーレ男爵と妹のマルティナだけだという。
ミフェルはカスパーを通じてクレムラートの本邸に怪文書を出し、自分はマルティナへの接触を図った。



