近くにいたメイドに聞いてみると、リタには服飾品を置くための専用の部屋があったらしい。二階のリタの寝室の隣の部屋だ。
そこに入ると、衣類から出る独特のにおいがした。
「わあ、すごい」
壁一面に数多くのドレス、足元には靴、反対側の壁は棚になっており、上に帽子の入った箱が何個も重ねられていて、中段のあたりに、アクセサリー類が並べられていた。
「リタ様は、おしゃれな方だったんだ」
ドレスは、年配のご婦人が気に入りそうな落ちついた色合いのものから、どう見ても最近は着ていなかっただろうと思われる、若い娘用のドレスもあった。
「かわいい。お義姉さまが着ても似合いそう」
部屋一面の服は、まるで歴史年表のように、奥が若い娘向けのデザイン、手前が年配のご婦人用のデザインになっている。
マルティナは若々しい色合いに惹かれ、奥のドレスを一枚一枚見ていく。と、空色のドレスのハンガー部分にメモがつけられているのを見つけた。
【夫より。二十歳の記念にとプレゼント】
角ばったしっかりした文字だ。これがリタの筆跡だということは、昨日までの書類整理で何度も見たからわかる。
興味を惹かれてほかのドレスも確認してみると、奥に納まっているものにはすべてメモが付いていた。



