「蘭」





蘭君の周りにいる女の人達を雑に退かして、突然現れた茶髪の男。


怪我してる蘭君の腕を茶髪さんが手加減なしで掴んだ。



それを見て、私も周りにいる人たちも絶句。



蘭君は痛みに顔を歪めながら、なにか言いたそうに男を睨んだ。



「...やっぱり。
なんで無理しようとするんだ。早く病院行くぞ」


「別に...行かなくても時間が経てば治るだろ」


「バカ、絶対折れてるぞ、それ」


茶髪さんの言葉に、思わずギョッと瞳孔が開いた。



おっ...折れてるって。


もし鉄パイプが頭に当たってたら、私と蘭君...どっちか死んでたかも...。



なにそれ怖い。




今になって恐怖が倍増。


心臓が鈍く鳴り始めたとき。



「君、蘭を助けてくれた子だよね?」



茶髪さんに話しかけられ、思わず身構えてしまう。



優しそうな雰囲気は、どこか詐欺っぽくて。


...私の苦手なタイプだ。