*


いつの間にか意識がなくなってたみたい。


朝目が覚めた時には、昨日の土砂降りが嘘みたいに静まっていた。



「ら...」


彼の名前を呼んで、おはよう。って。
笑いかけたかったのに。



彼はベッドの上で上半身だけ起こして、泣いていた。


そんな彼を、私は後ろからあやす様に抱きしめる。




「蘭君...泣かないで」


「...っ」


「蘭君が泣いてると、私まで辛いの。」




そう言うと、蘭君は流していた涙を腕で拭った。



蘭君の泣いてる理由...なんとなく分かるよ。


本当はお父さんとサヨナラしたくなかったんだよね?


それでも

子供の頃振るわれた暴力が、蘭君の過去を半分も支配してるから


過去を断ち切るには、どうしてもサヨナラしなくちゃいけなかったんだよね...。