「兄さん...正気?」


「家族に戻りたいって言ったのはお前の方だろ」


「いや、だってまさか...」



ファーストフード店での、喧嘩腰の勢いはどうしたのか。

蘭君が私の手を離して、吃る鈴君に一歩だけ近づく。



鈴君との距離が近くなる度、私から離れていく蘭君の背中。


さっきまで隣にいたのに。


蘭君は私だけの蘭君だったのに。


急に現れた、血の繋がりがあっても蘭君を見捨てた男に、蘭君を奪われた。


私の唇は、信じられないくらい青に染まり、冷えきっていた。