わたしと専務のナイショの話

「なんだ。
 京平、今日はひとりか」
と言ってくる。

「あの可愛い彼女は今日は一緒じゃないのか」

「……可愛い?」
と眼光鋭く訊き返すと、

「なんだ、可愛くないのか?」
と樫山は笑って訊き返してくる。

 いや、のぞみは可愛い。

 だが、他の男がのぞみを可愛いと言うと、嬉しいような不安になるような。

 樫山、今までロクでもない奴だと思っていたが。

 いいレストランも教えてくれたし。

 俺たちの心配もしてくれたし。

 実は、こいつ、いい奴なんじゃないのか?

 お坊っちゃんだし、ルックスもいいし、頭もいいし、仕事もできる。

 もしかして、こいつ、申し分ない奴なんじゃ……。

 そんな樫山が、のぞみを可愛いと言うなんてっ。

 のぞみが樫山を好きになってしまったらどうしようっ、と思っていると、樫山が笑って言ってきた。

「この間、俺と居た秘書の仙道(せんどう)も、あの子可愛いですねって言ってたぞ」

「その秘書はクビにしろ」

「は?」