わたしと専務のナイショの話

 そのとき、その女性が、細い糸のようなさらさらの金髪をなびかせ、なにか京平に言って笑った。

 さっと車に乗って行ってしまう。

「ほら、笑われたじゃないかっ」

「美人に笑われるとこたえますよね、同性でも……」

 なんでだろうな、と思いながら、
「今、なんて言われたんですか?」
と訊いてみた。

「頑張って、と言われたんだ」
と恥ずかしそうに京平は言ってくる。

「そうなんですか。

 すみません。
 どうもイタリア語は苦手で」

「……あれはスペイン語だ」

 そうなんですか。
 すみません……。

 更に乗る気が失せたようだ、と思いながら、走り去った白い外車を見ていたのぞみは突然、思い出した。

「そういえば、先生。
 昔、綺麗なETCの先生と話題になってませんでしたっけ?」

「なってない。
 そして、ETCじゃない、AETだ」