現在、三限目の休み時間。

松本先輩情報で三宅さんがここにいるとメッセージが届き、私はまだみんなが話していた猫を直接見たことがなかったので、スケッチしたい!と大慌てでこの校舎裏の外階段へと来たら……。  


何故かなぎさ先輩まで一緒にお昼寝をしていたのだ。


「今度いつ三宅さんに会えますか?」

なんとしても描きかけのスケッチを完成させたい。けれど、動物をスケッチしたのは初めてで慎重になりすぎたせいか思ったよりも構図に手間取ってしまった。


「さあ、運がよければ明日も会えるんじゃない?」

他人ごとのような言い方に私は口を尖らせる。


先輩は私が気持ちを自覚したことなんて、もちろん知るはずがない。あれから私はことあるごとに意識してしまい、心臓が壊れない一定の距離を保つので精いっぱいだ。


「っていうか写メ撮ればよかったのに」

それは三宅さんが去った今切実に私も思っているけれど、撮り忘れたんだから仕方ない。


「たしか似たような構図の写真あったような」と、先輩が自分のスマホをスクロールしはじめる。


「ほら、これなんかどう?」

寄りかかっていた身体を起こして、先輩は私に近づいてきた。そして「見て」と、私の隣に来たので思わず後退り。


「なんで逃げるの?」

先輩が不思議そうに首を傾げていた。