心にきみという青春を描く




そして放課後、今日も部活がはじまった。

美術室はいつもとなんにも変わらない。棚の上に石膏像があり、カラフルな絵の具が陳列されて、スライド式の黒板には誰が描いたか分からない落書きがされている。

そんな中で部員は私を含めて三人だけ。

天音くんとなぎさ先輩だ。詩織先輩は委員会で、松本先輩は先生に呼び出されたから遅れると事前にメッセージが届いていた。


仕切る人も盛り上げる人もいないので、美術室では各々に好きな絵を描くことからはじまった。

私は水彩画の勉強中なので、スケッチブックと水彩色鉛筆をテーブルに出す。

……こんなに静かな部活は初めてだ。

天音くんは普段どおり黙々と漫画を描いて、なぎさ先輩も青いひまわりに絵の具を乗せている。


私はたぶん、美術室に入った瞬間から失敗した。

すでに部活に来ていた先輩と目が合ったというのに、露骨に逸らしてしまったから。

あれはものすごく感じが悪かったと思う。でもお昼休みに松本先輩とあんな話をしたから……。なんとなく顔を見ることを躊躇ってしまったのだ。


「ねえねえ、この0番って透明なの?」

と、その時。絵を描いていたはずのなぎさ先輩が天音くんの元に移動していた。


休憩だろうか。気づけば部活がはじまって30分が経過している。私はただ画材をテーブルに出しただけでなにもやってない。