心にきみという青春を描く




「詩織先輩のこと、いつからその……」

私は小声で聞いてみる。


「一年くらい前かな。笹森が美術部に入部してきた時ぐらい」

部活中はいつも普通に話しているし、どちらかといえば詩織先輩のほうが上級生みたいな振る舞いをしてるけど、松本先輩がそんなにも長い間片想いしてたなんて……。


「でも、詩織先輩には彼氏が……」と、言いかけて。私はしまったと口を慌てて閉じる。

もしかしたら松本先輩が知らないという可能性もある。

詩織先輩は自分から彼氏の話なんてしないし、同性の私だから教えてくれたことだったかもしれないのに。


「あーうん、知ってるよ」

私の焦った顔を見て先輩が安心させるように言った。


「……知り合いの方ですか?」

「んなわけねーじゃん。付き合ってる人がいるって知ってるだけ」


たしか年上って言ってたけれど、他校の人なのかな。たまに急ぐように帰る時があるし、部活が終わったあとに会ってるのかもしれない。


一年間、片想いしてるなんてどんな感じなのだろう。彼氏がいると分かっているなら想いを伝えることもなかなかできないだろうし。