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次の日。昨日の雨が嘘のように今日は雲ひとつない青空が広がっていた。
「はあ……」
なのに私の表情はずっと曇っている。ベンチに座りながらお弁当のフタを開けたけれど、大好物の赤ウインナーにさえ手をつけていない。
「ため息ばっかりついてどうしたんだよ」
隣では松本先輩がこの前と同じ学食のカツ丼を頬張っていた。
私は今、中庭で松本先輩と昼食中。約束していたわけではなく、いきなり教室まで迎えにきた先輩に捕まってしまったのだ。ちなみに天音くんはいち早く先輩の姿を発見してどこかへ逃げてしまった。
「松本先輩って……いつから詩織先輩のことが好きなんですか?」
前触れもなく尋ねると、「ゲホ、ゲホッ……!」と先輩がご飯を詰まらせていた。
「え、なに、急に」
べつに深い意味はないけれど、なんとなく昨日から続いているこのモヤモヤを松本先輩となら共有できる気がしたのだ。
「……っていうか、いつから気づいてたの?」
いつも威勢のいい先輩がこんなに動揺しているところを見たのは初めてだ。
「わりと最初から気づいてました。ものすごく分かりやすかったです」
「まじか……」
おそらく天音くんも勘づいてるし、付き合いが長そうななぎさ先輩も当然知っていそう。
「笹森に言ってねーよな?」
「言ってませんよ。でも詩織先輩って頭のいい人ですし、気づいてるけど気づいてないふりをしていそうな気もしますけど」
松本先輩の耳は真っ赤になっていて、さっきまで絶え間なく口へと運んでいた箸さえピタリと止まっていた。



