心にきみという青春を描く




「ズルい?俺、意地悪なこと言った?」

そしてこの無自覚。先輩が醸(かも)し出すのほほんとした空気が今は私を不機嫌にさせる。


「どうせこの部屋にもたくさんの女の子を連れ込んでるんでしょう?」

私は投げやり気味に言葉を呟いた。


「なんでそうなるの?連れ込んでるなんて一言も言ってないよ」

「でも部屋を見たら大体の女の子は引くって」


それはつまり女の子を部屋に入れたことがあるってことだ。本当はこんなこと言うつもりはなかった。

さすがに詮索してるみたいで厚かましいし、私には関係ないと言われればそれまでだ。けれど、先輩がなにも教えてくれないから、ムカつくを通り越して寂しくなったのだ。


「本当に連れ込んだりしてないよ。女の子を部屋に入れたのはなつめで二人目」

じゃあ、一人目は誰ですか、なんて……私に問い詰める権利はない。


すごくモヤモヤした。

自転車のふたり乗りをしていた時はあんなに浮かれていたのに。家に上がってと言われた時はあんなに胸がときめいたのに……。

帰りにバスで送ってもらい、『また明日ね』と、再び反対車線のバスへと乗り込む先輩を見送りながら、私は笑顔で手を振ることができなかった。