心にきみという青春を描く




そして先輩と二回目のふたり乗り。

なぎさ先輩は自転車に乗りながらもやっぱりくしゃみをしていた。その度にゆらゆらと揺れてバランスを取りながら私は必死で傘を持つ。

先輩はひたすら線路沿いをまっすぐに進んだ。

時間にして約20分ほど。声が反響する高架下を過ぎればレトロなアパートが見えてきて、どうやらそこが先輩のお家のようだ。


「簡単でしょ、うちまでの道」

先輩がそう言うと、私たちはアパートの自転車置き場に着いた。


「はい。覚えてしまいました」

覚えようとしていたわけじゃないけれど。いや、少しは意識していたかもしれないけど、本当に簡単すぎてきっともう忘れられない。


「タオル出すからとりあえず来て」

案内されるように導かれたのは二階の201号室。慣れた手つきで鍵を開けると、先輩は家のドアを開けた。

あまり見ては失礼だと思いながらも、やっぱり見てしまうお家の中。

玄関には先輩が脱いだスニーカーと、先輩のものらしき赤や黄色のこれまた星マークのスニーカーが並べられているだけ。


リビングまで続いているだろう廊下は、フローリングの光沢が映るほどキレイで、壁も一面真っ白。

なんていうか、物がなさすぎて引っ越ししてきたばかりの家という印象だ。