心にきみという青春を描く




――『なつめちゃんって、三上先輩のこと好きなの?』


あの時、はっきりとしたことは言わなかったし結局曖昧なままで終わってしまった。

でも今同じことを聞かれても私は『分からない』と答えると思う。


だから普通に、『詩織先輩、変なこと言わないでくださいよ』とか『お家に興味はあるけど、濡れたくないので写メ送ってください』とか、明るい感じで交わす方法はいくつもあった。

こんなことで顔を赤らめたりせずに、気軽に笑い飛ばせばよかったのだ。でも私の返事は……。


「ま、まあ、見てみてもいいかなと思ったりはしてますけど」

自分でも恥ずかしいくらい、たどたどしい言い方だった。


だって、なぎさ先輩のお家を見られるチャンスなんてこの先ないかもしれない。そう考えたら断る選択肢は浮かばなかった。


「はは、なにそれ。なんで上から目線なの?」

結果、ものすごく笑われてしまったけれど。私は詩織先輩の提案に乗り、なぎさ先輩の自転車の後ろで傘を持つ係になった。